SUPER DOLL

(1969 1st ed.)

Aword books 刊

LEO AUGUST

あらすじ

 幾つもの超国家的諜報機関が鎬を削る、架空の冷戦下。謎の大物"The BIG I"率いる、人類の平和を願う国際機関"I.N.T.I.A.L.S"は、激化する情報戦の切り札として、スパイロボットの製作を決定する。
 変わり者だが天才と呼ぶに相応しい科学者、Dr.ビーンが造り上げた"Sheila"-Simulated-Human Electoronically Implemented Lady Agent-は、完全な自律型人工知能と大量の兵器やスパイ道具を内蔵した頑強なボディ、そして人間と寸部違わぬ完璧な美貌を備えた超高性能女性型アンドロイドとして完成した。

 起動試験代わりの香港でのミッションを軽々とクリアした彼女を次の使命が待っていた。政府高官やINITIAL関係者のペットが次々と誘拐される、という不可解な事件の黒幕と目される敵対組織、"M.O.T.H.E.R"への潜入捜査という困難な任務を与えられたSheilaは、単独で調査を開始するのだった…。

解説

 スパイアンドロイド美女がその性能を駆使してちょっとHな大活躍、というボンクラヲタクの妄想が具現化したよーな一冊。ええ、管理人もいたく気に入っております(笑/ボンクラだしな!)。ペナペナのペーパーバックという出版スタイルも内容にマッチしておりイイ雰囲気を漂わせておりますなぁ。

 巻頭で「当作はSexplosiveな作品であります」と宣言する潔さも素晴らしいのですが、69年という時代背景を考慮してもそちらの方はやや控えめな描写かと。むしろ問題なのは、お色気担当がSheilaさん一人であるにも関わらず、常に彼女の一人称に近い形で物語が進む事にありそうです。
 どんな艶っぽいシーンでも、地の文章ではSheilaさんの電子頭脳が冷徹に計算した結果として痴態を演じていたり、セクシーな台詞を言いながら内部では内蔵センサーが動作していていたり、服を脱いだかとおもうと体中から武器が飛び出したり(笑)、という描写ばかりで、筋金入りのロボフェチ(例:管理人)ならいざしらず、セクシー女スパイ物を期待して読んだ当時の一般読者の失望や如何ばかりかと慮られてなりません(またこれがSF系とかじゃなくて普通っぽいラインナップの出版社から出ているんですよ)。

 彼女の性能の描写を適宜交えつつスピーディ&サスペエンスフルな展開を見せる冒頭部はなかなか良く出来ているのですが、ペット誘拐事件(しかも重要人物をペットロス症候群に陥れるだけ、という何の捻りも裏もない作戦)という脱力感漂うメインストーリーに入ると結構グダグダになってしまいます。移動するシーンで延々とヒッチハイクを繰り返したりするやる気のない展開とか。敵本拠に潜入するクライマックスでは、正体が割れてエネルギーを吸い取られてしまったり、沈没中の潜水艦で大活劇があったりと何とか持ち直しますが、まぁそういったユルい構成も含めて楽しむべき作品でしょう。

 で、どっかで見た事のあるバストウェポンのお話。気になってちょっと調べたんですが、いかにも海外SFをネタ元に使っていそうな石森章太郎「009ノ1」は67年でこの作品より先、超巨乳にカメラを仕込んでたドリス・ウィッシュマン「デッドリー・ウェポン」は74年で少し後、ですか。当時日本のマンガがそれほどアメリカに紹介される機会があったとも思えないので、平行進化して同じ様な描写になったか、何か大元ネタみたいな物(例えばパルプマガジンとか)があると考えられるんですが…。オースチンパワーズはどういった流れに連なるのか、とか、ここら辺はより突っ込んだ研究が必要でしょう。やな研究だな。

 というわけでプレイメイト時代のパメラアンダーソン主演で映画化キボン、とか詮無い事を書き散らかしつつこの項終わり。

おまけ

Sheilaたんのヒミツ


データベーストップにもどる/インデックスに戻る